07/08/2026
★今週の動画
種牛の削蹄
https://www.youtube.com/watch?v=yNDock3hiec
今回の動画は、種雄牛の削蹄です。
この削蹄、牛さんの健康を守るうえで本当に重要な作業です。特に、体重が1トンを超えることもある種雄牛にとって、蹄の管理は最重要といっても過言ではありません。
牛さんは、その大きな体を4本の肢、そして8つの蹄で支えています。蹄が伸びすぎたり、左右の蹄の高さや形が不ぞろいになったりすると、体重が一部に偏ってかかります。その状態が続けば、蹄だけではなく、関節や腱、さらには腰にまで負担が及んでしまいます。
特に種雄牛は、採精時に雌牛や擬牝台へ乗駕します。その際、後肢で体を強く踏ん張り、腰や股関節、膝、飛節、そして蹄には大きな力が加わります。
蹄の状態が悪く、床をしっかり踏みしめることができなければ、乗駕をためらったり、滑ったり、採精動作そのものが不安定になったりすることもあります。さらに、蹄の痛みや運動器の不調は、種雄牛の意欲や精液生産にも間接的な影響を及ぼしかねません。
ですから、種雄牛にとって蹄の管理は、単に「歩きやすくするため」だけのものではありません。安全に採精を行い、種雄牛として長く活躍してもらうための大切な基礎管理なのです。
小生も、これまで多くの種雄牛を治療してきましたが、運動器疾患には毎度泣かされてきました。種雄牛は体が大きいため、いったん肢や蹄を痛めると、治療も看護も本当に大変です。起立や歩行が難しくなれば、治療だけでなく、種雄牛としての供用そのものに関わる問題になってしまいます。
そう考えると、運動器の健康を支えるすべての基礎が蹄であり、その蹄を守るのが削蹄だといってもよいかもしれません。
削蹄の目的は、ただ伸びた蹄を短くすることではありません。左右の蹄に体重が均等にかかるように形を整え、牛さんが本来持っている自然な立ち方や歩き方に近づけることが大切です。
また、削蹄の際には、蹄底の出血、白帯部分の異常、蹄底潰瘍、趾間の炎症、蹄壁の亀裂など、外から見ただけでは分かりにくい異常が見つかることもあります。つまり削蹄は、蹄病を早期に発見する貴重な機会でもあるのです。
一方で、削りすぎれば蹄底が薄くなり、かえって痛みや跛行を引き起こすことがあります。牛さんの蹄の形、年齢、体重、床の状態、蹄の伸び方などを見ながら、必要な部分を適切に整えていく。この見極めこそが、削蹄師さんの技術です。
削蹄は、本当に職人技です。
全国削蹄競技大会などで入賞される削蹄師さんの技術は、まさに尊敬に値します。大きな牛さんの動きや気持ちを読み、なだめながら、非常に厳しい姿勢で、一蹄一蹄を手際よく整えていきます。
刃物を扱いながら、力だけに頼らず、牛さんの動きに合わせて自分の体を使う。その姿には、長年の経験によって培われた技と勘が表れています。
今は何事も効率が重視される時代ですが、このような伝統的な技術は、本当に大切にしなければならないと思います。
実は小生、長らく居合を続けています。
削蹄師さんの動きを見ていると、刃物の使い方だけでなく、姿勢、間合い、力を入れる瞬間と抜く瞬間、そして相手の動きを感じ取るところに、居合の技とどこか相通じるものがあるように感じました。
良い仕事は、ただ力任せに行うものではありません。基本となる姿勢を守り、道具を正しく使い、余分な力を抜きながら、必要なところにだけ力を伝える。そこには、長い時間をかけて磨かれてきた「技」があります。
それにしても、夏場の削蹄は本当に大変です。
暑さの中、大きな牛さんを安全に保定し、一頭一頭の蹄を確認しながら作業を進めていく。削蹄師さんだけでなく、牛を誘導する方、保定する方、日頃から牛を管理する方など、多くの人の協力があって、初めて安全な削蹄ができます。
畜産業は、決して一人の力だけで成り立っているものではありません。
牛さんを健康に育てるために、それぞれの分野で技術を磨いてきた多くの方々が力を合わせています。今回の削蹄を見ながら、そのことを改めてしみじみと感じました。
種雄牛がしっかり立ち、力強く歩き、安全に採精を続けられること。その当たり前に見える姿を、足元から支えているのが削蹄なのです。
みなさん、こんにちは!シェパードの蓮沼浩です。今回の動画は、種雄牛の削蹄です。この削蹄、牛さんの健康を守るうえで本当に重要な...